「4STEPやサクシードのせいで数学が嫌いになった」「こんな教材を配る学校は自称進学校」——受験界隈ではこうした批判をよく目にします。しかし、個人的にはこの批判にはかなり疑問を感じています。
本記事では、こうした批判が本当に正しいのかを冷静に分析します。なお、本記事は一般入試の受験者を対象としています。
目次
・2. 「解説が薄い」という批判の的外れさ
・3. 数学が伸びない本当の原因
・4. 受験界隈全体に蔓延する「情弱ビジネス」の罠
・5. 4STEP・サクシードを最大限に活かす使い方
・6. どうしても教材を変えたい人へ:正しい判断基準
・7. よくある質問(FAQ)
1. 4STEP・サクシードは本当に「悪い教材」なのか
結論から言えば、これらの教材は少なくとも基礎問題精講のような基礎系参考書と比べても、全体的に見て優れている部分が多い教材です。問題の幅や量という意味ではむしろ広く、演習量という観点でも十分な価値があります。
- 対応レベル: MARCH理系・早慶文系レベルであれば十分に対応できる内容であり、受験の土台を作る教材として申し分ない。
- 演習量: 問題の幅と量は市販の参考書と比べても遜色なく、むしろ優れている部分もある。
- コスパ: 価格が安く、学校の宿題として使われるという点でもコストパフォーマンスは極めて高い。
もちろん最難関大学や国立大学の記述問題を完全にカバーできるわけではありませんが、それは多くの参考書にも言えることであり、この教材だけの問題ではありません。「やって損をする教材」や「批判されるべき教材」では全くなく、むしろ多くの受験生にとって大きなプラスになる教材だと思います。
「4STEPは使えない」説が広がった背景
この批判が広まった背景には、受験系YouTuberや情報発信者の影響が少なからずあります。「○○はゴミ」「この教材だけで受かる」という極端な主張ほど再生数が伸びやすく、受験生の不安を煽る形のコンテンツが拡散されやすいという構造的な問題があります。4STEPやサクシードへの批判も、この流れの中で生まれた過激な意見の一つと見るのが正確でしょう。
実際に4STEPやサクシードで学習し、難関大に合格した受験生は数多くいます。問題は教材ではなく、その使い方と取り組む姿勢にあります。
2. 「解説が薄い」という批判の的外れさ
よくある批判として「解説が薄い」というものがあります。確かに講義系参考書と比べるとコンパクトな部分はあるかもしれません。しかし、そもそも数学は思考が必要な科目です。
あの程度の解説を理解できないのであれば、そもそも入試科目として数学を使うべきかどうかを考えるべきかもしれません。解説が多少コンパクトであることは、むしろ自分で考える余地を生むものであり、思考力を伸ばすチャンスにもなります。すべてを丁寧に説明してくれる教材だけが良い教材とは限りません。
「解説が丁寧な教材」が逆効果になる理由
解説が非常に丁寧な教材に慣れてしまうと、「読んで理解する」という受動的な勉強スタイルが定着しやすくなります。これは一見効率的に見えますが、入試本番では当然ながら解説は存在しません。自分で考え、試行錯誤し、答えにたどり着く力が求められます。
4STEPやサクシードのようにコンパクトな解説の教材は、否応なく「自分で考える」ことを求めます。これは短期的には苦しく感じますが、長期的に見れば本質的な思考力の訓練になります。解説の薄さを批判する受験生ほど、実は自分で考える時間を避けているケースが多いです。
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3. 数学が伸びない本当の原因
数学が伸びない原因を教材のせいにする人がいますが、個人的にはそれは違うと思います。数学が伸びない原因の多くは思考不足です。
「4STEPやサクシードのせいで数学が伸びない。もっと良い参考書に変えれば解決する。」
自分で考える時間・試行錯誤の時間が足りていないことが問題であり、教材を変えても解決しない。
数学は暗記科目ではなく思考科目です。自分で考える時間や試行錯誤の時間が足りていないことが問題であり、教材を変えれば解決するようなものでは決してありません。教材そのものを問題にするよりも、勉強の本質を理解できていないことの方がはるかに深刻な問題です。
「考える」とは何をすることか
「思考不足」と言われても、具体的に何をすべきかわからない人もいるでしょう。ここで言う「考える」とは、問題を見た瞬間に手が止まっても、すぐに解答を見ずに少なくとも15〜20分は自分の頭だけで取り組むことです。
どのような数学的な操作を試みるか。なぜその操作を試みるのか。うまくいかなかった場合、何が障害になっているのか。こうした問いを自分に問いながら粘り強く取り組む習慣が、数学の実力を底上げします。4STEPやサクシードには良質な問題が揃っています。その問題に対して「考える」という作業を正しくやっているかどうかが、すべてを決めます。
4. 受験界隈全体に蔓延する「情弱ビジネス」の罠
受験界隈全体を見ても、少し変だと感じる部分があります。受験系の情報発信では、それっぽいことを言ったり、簡単なことをそれらしく説明したりして、受験生に「勉強している気分」や「理解した気分」を与えるような内容が多いと感じます。
- 不安と焦りの利用: 受験生の不安や焦りを煽り、次々と新しい参考書や勉強法を売りつける構造がある。
- 途中経過の満足感: 本質から外れた勉強法でも「やった気分」になれるコンテンツが人気を集めやすい。
- 極端な意見の拡散: 「この教材はゴミ」「この参考書だけやれば受かる」といった極端な主張ほど拡散されやすい。
問題はそうした情報が存在することだけではなく、それをそのまま信じてしまう受験生が多いという現実でもあります。大学受験において本当に重要なのは、派手な勉強法や参考書論争ではなく、自分で考えながら地道に勉強を続けることです。
特に注意すべきは、「この教材を批判すること」が一種のコンテンツになっているという点です。4STEPやサクシードを批判する動画や記事が多く出回っていますが、その発信者が本当に受験を経験してきたのか、実際に使い込んで批判しているのかは不明なことがほとんどです。批判の内容ではなく、批判の出所と動機を疑う目を持つことが重要です。
5. 4STEP・サクシードを最大限に活かす使い方
批判を論破するだけでは不親切なので、この教材を実際にどう使えばよいか、具体的な方法を紹介します。
問題のレベルをきちんと使い分ける
4STEPにはA問題・B問題・発展問題という難度別の構成があります(サクシードも同様の構成)。最初からすべてを解こうとするのではなく、まず教科書の内容をしっかり理解した状態でA問題を解き、B問題へ進み、発展問題は志望校のレベルに応じて取捨選択するという使い方が効果的です。
多くの受験生がやりがちな失敗は、A問題もままならない状態でB問題に進んだり、解けない問題を飛ばして先に進んだりすることです。基礎が固まっていない状態で難問を解こうとしても、力はつきません。
解けない問題の処理の仕方
解けなかった問題は、単に解答を見て「なるほど」と思うだけでは不十分です。解答を見た後に必ず「なぜこのアプローチになるのか」を考え直してください。使っている数学的な概念や定理を確認し、どのような条件でその手法を使うのかを整理する。そのうえで翌日以降に再度その問題に挑戦する。この繰り返しが実力を積み上げます。
学校の授業とセットで使う
4STEPやサクシードは、学校の授業と並行して使うことを前提に設計されています。授業で学んだ概念をその日のうちに問題演習で確認するというサイクルを回すことで、理解の定着が格段に速くなります。学校の授業を軽視して独自の参考書だけをやろうとする受験生がいますが、この教材を使っている場合は授業との連動がひとつの強みになります。
6. どうしても教材を変えたい人へ:正しい判断基準
ここまで読んでも「どうしても自分には4STEPが合わない」と感じる人もいるでしょう。そういう場合に、正しい判断基準を示しておきます。
教材を変える正当な理由は一つだけです。「その教材をやり切った(または十分に消化した)うえで、さらに上のレベルの問題演習が必要になった」という場合です。これ以外の理由、たとえば「解説がわかりにくい」「モチベーションが上がらない」「ネットで批判されていた」といった理由で教材を変えることは、ほぼ確実に逆効果になります。
本当に4STEPやサクシードをやり切ったうえで次のステップが必要な場合は、青チャートや一対一対応の演習などを検討するのが現実的です。ただし、これはあくまで「やり切った後」の話です。
7. よくある質問(FAQ)
Q. 答えを見ながら進めても大丈夫か?
A. 最初から答えを見ながら進めるのは、思考力の訓練にならないため非推奨です。しかし、10〜20分考えても糸口が見つからない場合は、解答を参考にしてアプローチの方向性だけを確認し、その後自力で最後まで解いてみるという方法は有効です。「考えること」を放棄して解答を丸写しすることと、ヒントとして活用することは、まったく別の行為です。
Q. 4STEPとサクシードはどちらがよいか?
A. どちらも数研出版が教科書に合わせて設計した傍用問題集であり、本質的な差は大きくありません。学校で配られているものをそのまま使うのが最も効率的です。わざわざ買い直す必要はありません。
Q. 4STEPをやり切った後、次に何をやればよいか?
A. 志望校のレベルによって異なります。MARCH文系・地方国立レベルであれば、4STEPの後は過去問演習に入るのが最短ルートです。早慶・旧帝大レベルであれば、一対一対応の演習や文系の数学(河合出版)などで難度を上げた演習をこなしてから過去問へ進む流れが一般的です。東大・京大・医学部を目指す場合は、さらに上のレベルの教材も検討が必要です。
Q. 4STEPは「自称進学校の教材」と言われているが、本当か?
A. これは完全な誤解です。4STEPは進学校でも非進学校でも広く使われている教材であり、「自称進学校の証明」という評価はまったく根拠がありません。問題の質は市販の標準的な参考書と同等以上であり、学校が採用しているという事実だけで批判するのは的外れです。
4STEPやサクシードは「批判されるべき教材」ではありません。これらの教材を批判する人の多くは、数学だけでなく大学受験全般において勉強の本質を理解できていない可能性があります。教材を変えることより、自分で考える時間を増やすことの方が、数学の成績を上げる上ではるかに重要です。
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